安曇野で古民家調査

*スタッフ日常2019/7/5

 このところ、映画「黒部の太陽」をDVDにてヘビロテ視聴中です。
戦後の一大国家的プロジェクトであった黒部ダム建設工事を題材とし、
石原裕次郎と三船敏郎という、当時の日本映画界のタブーを破った
画期的なダブル主演で話題をさらった同映画。
ヘビロテ視聴の理由は、じつは来週ひょんなことから
黒部ダムから黒部第四発電所を経て富山県の宇奈月温泉へと抜けるという、
黒部峡谷を探訪することになったからで、
DVDはそのための予習のような感じで観ているところ。
次回のブログではこの黒部川ツアーの様子について書きます・・・と、
まだ今日の本編も書いていないうちから次回予告をしてしまう、
リフォーム設計担当の高松です、こんにちは。

 さて、本日の話題はつい先日行われた安曇野での古民家調査について。
 といってもサンプロの仕事としてではなく、
個人的に信州大学の古民家調査に同行させてもらう機会があったので、
そのことについてです。

 訪れたのは安曇野市穂高有明に建つ、重要文化財指定の曽根原家住宅。
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江戸中期に建てられたと考えられている安曇野を代表する古民家は、
20年に一度の屋根葺き替えを含む大規模な修繕工事を行ったという話を
昨年8月のブログ記事にて紹介しました。

 今回はそんな貴重な存在である曽根原家に
すでに何度も調査に入っている信州大学工学部のH先生と
その研究室の院生の皆さんに同行してのもの。
お邪魔にならぬよう、背後からそっと見学させてもらうだけのつもりでしたが、
普段から民家をはじめ古建築について何かとお世話になる機会の多い先生に、
あれやこれやと懇切丁寧に解説を頂戴し、いやはや申し訳ない限り。
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 曽根原家は一般には「本棟造」の原型と評されることもあるのですが、
その構造や造作の各所は謎に包まれている部分も少なくなく、
古民家建築の研究を生業とする専門家の先生がたでさえ
首をかしげるところがいろいろあるのだそう。

 文献など当時の記録などで証明されるものが乏しい以上、
現状の分析調査から往年の姿を想像するよりほかなく、
ただそれでも先生や研究室の院生の皆さんは
わずかな痕跡も見逃すまいと真剣に建物と向き合い、
いろんな情報を収集整理していました。
やがて調査も一段落すれば調査結果が公表される機会があるかと思います。

 自分にとっては古民家の保全活用には深く関わって行きたいと思いつつも、
まだまだ勉強の足りていない部分も多く、こうした大学の民家調査の場に
同席させて頂けるのは本当にありがたい話です。

 この日は曽根原家のほかにもう一軒、
これまた江戸中期頃に建てられたとされている古民家の調査が行われました。
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いまは空き家になっているその民家。
幾度にもわたって改修工事が行われたその痕跡が、柱や梁、
屋根裏の様子などから推測することができ、とても興味深かったです。

 古い民家はその年代が古ければ古いほど、
途中の改築改修のために原型が分かりづらくなっています。
そうした建物を相手にリフォーム・リノベーション工事を
計画する機会があるわけですが、大切にしているのは
いま目の前にある建物のすがただけではなく、
その建物の原点である新築当時のすがたを思い起こして考えること。

 建物の素のすがたをしっかり捉え、そのうえに築かれた建物の歴史を汲み取り、
未来を築き上げていく。そのことが建物の価値を高めるのと同時に
地域文化をはぐくみ、心地よい住まいと暮らしを作って行くことができる
大切な行動だと考えます。
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 簡単ではないですが、とてもやりがいのある仕事。
そんな充実した日々を過ごせていることに気づかせてくれる
古民家との触れ合いに、改めて感謝感謝です。
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